夏でも冷たい手だったのに、母親になって克服した冷え症
結論から言いますと、冷え性のみなら筋トレで改善できます。根本から改善します。私は、20代まで暑い夏でも手が冷たいほど冷え性でした。それは人と握手すると相手から「冷たっ!でも優しい人ほど手が冷たいって言うよね。」と根拠の無い慰めを貰う程だったので本当です。
でも出産後、坂道の多い街に引っ越してきたことと、近隣の全ての移動を子供二人を乗せてママチャリで済ませ、腰周りが鍛えられているうちにいつの間にか冷えに苦しむことが減っていきました。寒さに強くはないので、意識的にロードバイクに乗って外出したり、ジムで身体を鍛えるようになってからは筋肉量が増え、低い気温で外出したり水仕事しても、いつまでも手が冷たいことは全く無くなり、ゆるい暖房の室内なら半袖で平気になりました。
これは、一つの改善例ですが、冬のある国にいる限り、誰しも寒邪の影響は受けるわけでして、冬は、五臓のなかで腎の機能が活発になる時期です。脳の動き、性機能、呼吸、水液代謝などは全て腎と深い関わりを持ち、腎と膀胱は表裏一体背中合わせにあります。寒い季節は、トイレが近くなったり、冷たい飲み物がお腹にきやすいのではありませんか。
このように冷えと機能の低下がベースに考えられるものに全身の冷え 腰や膝のだるさ 生殖機能の減退 頻尿 むくみ 活力減退 その他下痢などの状態を腎虚であると推測できます。
冷え性は陽虚タイプのなかの腎陽虚
冷えの酷い体質は、東洋医学では、陽虚に分類され、文字通り陽気、エネルギーを補うこと、寒邪を取り除くことで改善を目指します。またこのタイプは、目の周りに黒クマができやすい、倦怠感、下痢しやすい、頻尿、生理痛、生理の経血多め、舌の色が薄いなどの症状も特徴です。特に腎陰虚の症状になります。
ほてりは陰虚タイプのなかの腎陰虚
更年期症状に多いとされるほてり、のぼせ、めまい、寒い時期にも汗などは、腎陰虚の症状になります。その他に、髪の毛や肌の乾燥、落ち着かないメンタル、乾燥した便、尿が少ない、生理経血少ないなどの症状があります。腎陰虚は、潤いを補うことと熱を冷ますことが改善に繋がります。
陽と陰が交互または同時
顔がほてって暑いのに首から下は、寒いとか、下半身だけ冷たいとか、ある時期や時間帯は冷えが酷く、別の時は、ほてってるなど同時にまたは別の時間に交互に症状が出るので、薬膳でも両方に相応しい食薬、生薬を使うのがベストになります。
腎陽虚の生薬は手に入りやすい
身体を温める食材、つまり食薬は、ご存じのように、とても身近にあります。野菜の食材では、にら、胡桃です。
そして生薬として活躍しているものも多いです。それは生姜、乾姜です。生の生姜は、血行を良くし悪寒に効果的です。生では、直接的に身体を温めることはないとされています。乾姜は、熱を加えて乾燥させると生薬として使え身体を温めます。そしてにらや胡桃と同じく腎にアプローチします。漢方や薬膳で使うには、五臓のどれに働きかけるかも大切です。生姜 乾姜の他には、シナモン、クローブなどです。シナモンはコーヒーに入れたり、パンに振りかけたり出来るので手軽です。
性質として温性、熱性の食薬、生薬で腎に働くものが相応しいです。美味しいレシピ例は次です。薄~いジンジャーエールが頼りなく感じるので要注意の美味しさです。
濃縮ジンジャーシロップ
皮付きで生姜をスライスし以下の材料でシナモン以外にいくつかあるものを使って、きび砂糖や黒砂糖や蜂蜜またはみりんを甘味として入れます。
赤唐辛子、シナモンスティク(シナモン粉でも)、赤胡椒(黒でも)、ローリエ、クローブ、カルダモン、スターアニス
約300mlの水に入れ沸騰してすぐ弱火20分煮詰めます。それぞれの分量は、スーパーで売っている生姜一個分をメインにしてシナモン以外は胡椒ひとつまみ、ローリエ1枚、クローブ2個、カルダモン6個、スターアニス1個ぐらいを目安割合で。美味しくなければ意味がないので味見して調節してください。
お湯割りしたらホットジンジャーエールになりますし、漉してミルクを入れたらチャイになります。
甘味料として煮詰めたみりんを入れるのは、静かにじわじわ流行ってきました。緩やかな血糖値上昇のためにもお勧め。
これは本場インドのチャイ屋のチャイ。
ちなみにこれは暑い時期の発汗で熱を発散させるためのチャイ飲みです。
すっぽんの美容サプリがありますが、腎陰虚にふさわしい食薬です。薬膳や中華料理のすっぽんスープは、肝と腎にアプローチして余分な熱を冷まし、肝にも働くことから怒りなどは肝が司るのでイライラしがちなメンタルを安定させます。
同じく腎陰虚のための食材、肝と腎に働き入手しやすいのは、枸杞の実です。めまいにも効能ありとされていますし視力の低下や目の疲れにも。スープやお茶、デザートにも使いやすい実です。ホタテ、牡蠣、ムール貝、玉子もお勧め。
外食の参考にもしていただけたら幸いです。
黒胡麻も腎に働きかけます。白髪予防に代表されるアンチエイジング食薬です。必ず摺った黒胡麻を使ってください。でないと栄養が届かず、小さいからそのまま便として放出されるだけですから。
牡蠣と三つ葉のスパゲティ(三つ葉は温性です)instagram
最近は米粉パスタも売られています。小麦粉抜きにしてオイル抜きでドレッシングで絡めても
白木耳のデザート。枸杞の実も入れています。リンク先の写真は身体の熱を冷ます緑豆も入っているので夏用になりますので季節でアレンジを。
養生の基本は、「腎を補い、身体を温める」
薬膳
身体を温める食材を摂る エビ、羊肉、ニラ、クルミ、ナツメ、生姜、シナモンなど。
黒い食材や腎を補う食材を摂る 黒豆、黒ゴマ、黒キクラゲ、山芋、クコの実など。
避けるべきもの 冷たい飲み物、生野菜、アイスクリームなど身体を冷やすもの。
病院で診断された薬とともに併用の心配が無いので試しやすいです。
生活習慣
十分な睡眠と休息 夜更かしは避け、特に夜は腎を休める重要な時間です。
身体を冷やさない 腰や足首を冷やさないように服装に気をつけ、
適度な運動で、激しい運動は逆効果です。過度の筋トレで私も燃え尽きたことがあるので注意です。ウォーキングやヨガ、気功など、
漢方薬(方剤)
腎陽虚に対しては、八味地黄丸や 牛車腎気丸
ちなみに腎以外
脾気虚に対しては、加味逍遙散(かみしょうようさん)基本となる処方が逍遙散(しょうようさん)で、そこに柴胡、薄荷などを加えて鬱(気滞)熱(肝火上炎)の傾向に対応したものです。肝気鬱結(ストレス・情緒の停滞で肝の気が巡らない)脾気虚(食欲不振・疲れやすい・下痢など)血虚(顔色不良・めまい・月経不調など)熱感・イライラ・のぼせ・口苦・目の充血など肝鬱化火の症状にも対応。
心脾両虚に対しては、帰脾湯。抑うつに。心(しん)の血(けつ)を補い、精神を安定させる竜眼肉、酸棗仁、補気健脾の人参、白朮等。
腎陽虚と腎陰虚のまとめ
冷え性は筋肉を増やすと解消します。でも冬には、寒邪の影響は誰でも受けるので、身体を温める温性や熱性の食材を食べましょう。但し、熱性は、身体の内に熱が籠る人、アレルギータイプは避けた方がいいです。
漢方は、即効性は無い場合が多いので数か月単位で効果の有無を判断しますが、食習慣も積み重ねの結果を待たなければいけません。でも新たにお金が掛かりません。食欲を満たすためや味覚を楽しむだけの食事ではなく、ここに効いて欲しいなと思いながら食べると食事の質や食材に対する感謝も具体的になってくるから面白いです。
怒りが沸いて抑えられなかったり、イライラや不安感が増すのは、単に生活環境、仕事やプライベートの悩みが根本原因で、そちらを先に解決した方が建設的近道なわけですが、いつもより異常に感情が溢れたり高揚してしまうなら、それはホルモンの影響や腎の衰えをはじめ身体的な原因が大きいと推測すべきかもしれません。診察が必要かもしれません。美味しいスープを飲むことでましになるならそれはそれで効果的だし、その場しのぎの美味しいものではなく、体質に合ったレシピを選び、弱っている内臓に働いてくれれば、応えてくれるかもしれません。表面的には、応えてくれなくても身体に良質なものを取り込むのがマイナスに働くことはありませんよね。極端に偏った摂取をしなければ、副作用も無く、とても薬膳は安全な養生方法です。
このまとめは、わたくしが、学んだこと、体験したことを正直に書いている部分が多いです。間違いに気づいたり、アップデート情報があれば随時修正をして進化していきます。たまに覗いていただき、これを読んでくださっているあなたが、心や身体の辛さの原因に気づき、何かの癒しや実際の手立てに役立てば幸いです。