更年期症状?こんな不調がありませんか?

更年期症状、噂には聞いていたけど、これはもしかしてって思う症状はありませんか? 顔がほてる・上半身だけ熱い・汗が異常に沢山出る・身体の冷えが酷くなる・落ち込みやすくなる等、その他にも理由のない不安感、イライラ、不眠、うつ、めまい、動悸、息切れ、手足のしびれ、ムズムズ感、肩凝り、頭痛、腰痛、関節のこわばり症状が当てはまりませんか。このような不調が長く続くのは、快適なはずの生活に支障をきたして辛いです。まずは、不調の原因を知ることから始めると不安から解放され前向きに対策を練る行動のきっかけにもなるでしょう。ここでは、専門家の医学情報からまとめたものと薬膳の専門家としての知識、実体験を元にギュッとまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
まず、更年期症状の原因とされているのが、女性ホルモンの減少ですが、不調のメカニズムを簡単に見てみましょう。良くご存じの方は読み飛ばしてくださいね。

女性ホルモンの役割とその不足から生じる不調のメカニズム

女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の二種類があります。特にエストロゲンは女性生殖器以外にも、身体の健康維持に重要な役割を果たしており、女性の身体に大きな影響を及ぼします。血中の女性ホルモンの濃度が低下すると、下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌が増加し、女性ホルモンの分泌を促進します。つまり、女性ホルモンが少ないのに多く出せと命令されるため、自律神経中枢に影響を及ぼし、更年期障害として発生します。産婦人科では、減少したエストロゲンを補充する治療が行われます。更年期障害かどうかは、血液検査で確認することができます。血中のエストロゲンが減り、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の値が上がっていれば、更年期障害である可能性が高いと判断されます。重度な更年期症状をホルモン補充療法で改善された方もいます。
主な自覚症状は、

  1. 顔のほてりは、血管の収縮の調節ができなくなり顔の血管だけが血流が活発になる現象です。
  2. 汗が異常に増えるホットフラッシュ。これは、甲状腺ホルモン数値の異常も考えられるので注意が必要です。
  3. 手足の冷えの酷さ
  4. 不眠は、過剰なほてりが影響することも。
  5. 肩凝り
  6. メンタルの不安定さは、エストロゲンが減ることで精神安定の役割を担っていたセロトニンも減るからです。

私にとっての更年期症状は、45歳の時に身体の感覚が明らかに違うと感じたことから始まりました。時々、左手の肘がドライヤーの熱が当たったように熱くなるのです。道を歩いている時や、家にいる時など、特に何もしていない時にドライヤーの熱風が肘に当たって消える感覚が度々ありました。その他にも様々な不調が現れました。同年代の友達は、額に汗が噴き出して困ると言っていました。産婦人科を受診するほど深刻ではなかったので、プラセンタエキスのサプリやイソフラボンを含む大豆食品を意識して摂取していました。これらは30代の頃から美容のためや寝起きを良くするために摂取していたのですが、その時から更年期症状用のサプリになりました(産婦人科では、女性ホルモン値が明らかに下がっていて、プラセンタを希望する場合は使用可能クリニックなら保険適用になるようなので試してみるといいかもしれません。)。私のプラセンタサプリ依存はその後も続き、今では、どうしても寝起きが悪い時だけにしています。製品として流通するために必要な保存料や添加物を知らないうちに常時摂取することになるからです。メンタル面では、具体的な理由がなく、鬱状態に陥ることが増えました。これについては、自分のメンタルを観察分析し食べ物にも工夫をしましたので後述します。

骨、血管、下半身機能の変化

  1. 更年期は、女性の骨密度の減少も挙げられ骨粗しょう症になる人もいます。骨には、新しく骨を作る細胞と古い骨を破壊する細胞とでバランスを保ちながら新陳代謝を繰り返します。この営みを制御しているのがエストロゲンで、その減少により、骨の破壊が制御しきれず進んでしまう現象が骨密度の低下となります。
  2. コレステロール値(LDL)が上がる。エストロゲンによって活発だった新陳代謝が鈍くなり、血液がドロドロに近づき高血圧になる人が増えます。以上の変化も主に食事療法による改善が重要とされています。
  3. 頻尿や膣の萎縮 免疫低下による感染症や女性ホルモン減少による骨盤底筋のゆるみによる尿漏れなど。これには、レーザー治療なども行われています。またフェムケアと称した商品やサービスも増えているようですが、効果について、まだ具体的に実証されていない印象です。

これらは、脂質や糖分を減らした食事、タンパク質が豊富な豆類やビタミン豊富な野菜や高タンパク低脂肪の肉を摂取する、青魚を積極的に摂取する、和食を中心にしたバランスのよい食事が推奨されていますが、食事療法は、すぐに改善されるものではないので日々の蓄積がモノを言うことになります。また骨密度を減らさないためにも日頃の運動はとても大事です。

東洋医学から見る主な更年期

男女ともに更年期症状は、加齢による老化と共に現れてきますが、中医学的には、腎気の衰えから閉経があり、個人差はあるものの、女性は49歳を基準にして前後の年齢で症状が出やすいです。女性は、閉経という身体の節目があるため、メンタル的にも男性より不調が顕著なのではないでしょうか。閉経は早い人では40代後半、遅い人では56歳ぐらいまで生理が続くこともあります。閉経に近づくにつれて経血が極端に少なくなったり、多すぎたり、周期も乱れるのが一般的です。

人の身体は、東洋医学では、気・血(けつ)・水(すい)この3つの要素で構成されていて、互いに補いあっています。これらのバランスが良好であることがベストであり、バランスの崩れが体調の悪化につながると考えられています。気は目に見えないエネルギーですが、この気がないと水も血も全身にいきわたらせることができません。血は、気を生じさせます。水は身体に潤いをもたらせます。そして気・血・水から熱が作られます。気・血・水・熱のバランスのいい状態が崩れると足りない要素を補い、過剰な要素を取り除く必要があります。これを八綱弁証や気血津液弁証といって、基本8種類の体質に分けています。
わかりやすく言うと気・血・水・熱が足りない(陰)状態と、気・血・水・熱が過剰な(陽)あるいは停滞している状態です。更年期症状は、著しく過剰と減少が生じることで辛いとも捉えられるのではないでしょうか。

体質による気血水熱

過不足状態タイプ名改善方法
気が足りない気虚気を補う
血が足りない血虚血を補う
水が足りない陰虚水を補う 熱を冷ます
熱が足りない陽虚陽気を補い寒邪を除く
気が停滞気鬱気を巡らせる
血が停滞血瘀血を巡らせる
水が停滞痰湿水分を排出する
熱が過剰陽盛過剰な熱を取り除く

陰陽五行説の詳しくは、アーカイブhttps://sunyosumi.com/5gyo/blog/ ‎(新たなページで開きます)

人間の身体も自然の一部と捉えているので、気候、季節によって誰もが、影響を受けます。よって、皆さんがご存じのように、夏には身体の熱を取る食物が旬となり、冬には身体を温める食材で料理を作るのが基本です。季節による各臓器への影響もそれぞれ違います。更年期の不調もこれらのバランスを把握して、食材を選び、時に食薬を取り入れ、漢方も試してみるのをお薦めします。念のため、食薬というのは、漢方でなくても薬になるものは沢山あります。例えば生姜は食薬になり、乾姜として漢方薬の材料になります。

薬膳と漢方でバランスを立て直す

これはビタミンが豊富とかこれは身体を温める食べ物だからいいというような情報は、正解であっても人にはそれぞれ体質があるので、不調を感じた時に、補うものと避けるものがみんな同じとは限りません。よくある症状に関して薬膳の例を少し挙げてみます。食材は、複合的な不調がある場合もいろんな食材の組み合わせができるので、おいおい後の投稿で追加していきますね。

  • ホットフラッシュ のぼせ ーーーー 水(すい)を補い熱を冷ます食材や生薬がおすすめ。
    小松菜 豚肉 ホタテ 牡蠣 白胡麻 黒胡麻 すっぽん 枸杞の実
  • 手足の酷い冷え ーーーー 陽気を補う 寒邪を取り除く食材や生薬がおすすめ。
    胡桃 海老 にら ピーマン 杜仲 シナモン 乾姜 花椒 鮭 鯵
  • 不安感・怒りっぽい・鬱っぽい ーーーー 気の巡りを改善する食材や生薬がおすすめ
    玉ねぎ ラッキョウ 蕎麦 オレンジ 蕪 生姜 三つ葉 陳皮 ジャスミン マイカイカ サンザシ
  • 無気力・倦怠感・息切れ ーーーー 気を補う食材や生薬がおすすめ
    鶏肉 牛肉 鰯 鯖 ブロッコリー キャベツ じゃがいも ブロッコリー 山芋 南瓜 栗 椎茸 薩摩芋 桃 なつめ 朝鮮人参 甘草

組み合わせメニュー例
小松菜と豚肉のソテー(ホットフラッシュに) 蕪と牡蠣のシチュー(ホットフラッシュとメンタル不安定に) サンザシのゼリー(メンタル不安定と高血圧に)鶏肉のブロッコリー巻き(無気力に)なつめ入りスイートポテト(無気力に)ジンジャーエールシナモン(メンタル不安定と冷えに)
Instagramにもメニュー例を載せています。
鶏胸肉と黒木耳の蕪のするおろしスープ
鶏胸肉と黒木耳の蕪のするおろしスープ

私は、鬱っぽくなるとジャスミンティーを積極的に飲んでいました。停滞したものを散らすような清涼なものやフルーティな食材が効果的のようです。無気力な時には、エンジンが少しでも掛かるように棗(なつめ)をかじったり。実際にどこまで効果的だったのか、例えプラシーボ効果であっても知っておくと不調に対して冷静になれるのが良いと思います。

市販の漢方薬について

怒りっぽい イライラ 不安感 不眠 ほてり等更年期症状の改善ーーー加味逍遙散ーーー身近な生薬では、生姜 芍薬 甘草 当帰が含まれています。
冷え症 頭痛 肩凝り めまい むくみ 貧血 生理不順の改善ーーー当帰芍薬散ーーー水(すい)と血の巡りを改善。当帰は血を補います。
足の冷え のぼせ 生理痛 肩凝りの改善ーーー漢方桂枝茯苓丸ーーー気と血の巡りを良くする。気が上部に集中しのぼせるのを全身に巡るよう改善します。

良く生きる哲学

東洋医学的に捉えるなら、原理に立ち返ってみる必要があります。Well-Being(良く生きる)という言葉を耳にしませんか。幸せの指標のようなものかもしれませんが、どちらかというと企業の取り組みに利用する狭い範囲で定義されていることが多いようです。最も広義で定義されているものには、身体の健康・心の幸福と社会の幸福・福祉の3つの定義があります。それに比べ、中国の古代哲学から生まれた中医学は、人間の幸福をもっと宇宙的に広く捉えています。

  1. 人と自然 – 人間を自然の一部として捉え、気候や自然環境の影響を考慮します。
  2. 人体のバランスと統一 – 五臓六腑とその他の組織と人間活動の関係を重視します。
  3. 社会環境 – 豊かな生活と貧しい生活、経済、家庭問題、競争、老後の不安などが心身に影響を与えると考えます。

これらを中医学では「整体観念」と呼びます。より良く生きるためには、宇宙的に捉え俯瞰してみることが重要です。

最新医療を駆使しても高価な漢方を処方されても薬膳などの食事療法を徹底しても結局は、環境やストレスが不調の原因であれば、取り除くべきは現状の人間関係を断つことや環境を変えることかもしれませんし、環境の変化についていけないストレスの場合は、自分を甘やかすことも必要かもしれません。いずれにせよ大局的に俯瞰してみる心がけが必要ですね。

更年期症状を改善させるためのまとめ

更年期症状は、女性ホルモンの減少により、自律神経に影響を及ぼし、様々な体調不良を引き起こします。主な症状には顔のほてり、異常な発汗、不眠、冷え性、メンタルの不安定などがあります。対策としては、食事療法やホルモン補充療法が有効であり、東洋医学の視点からバランスを保つことが重要です。一部ではありますが、具体的な食材や漢方薬の例を挙げ、日々の食事や生活習慣の改善を提案しました。更年期症状も個々の体質によるため、自身に合った方法を見つけることが大切です。より良く生きるため俯瞰的なアプローチが求められます。

  • 症状のメカニズムを簡単に知る。
  • 自分の今の体質を知る。
  • バランスを崩した時や不調に必要な要素を知る。
  • 自分の心と身体に必要な食材や食薬を知って旬のものを組み合わせて食べる。
  • 運動をする。筋力を付ける。
  • 症状の改善が見られないなら漢方薬を試してみる。
  • 深刻な症状は、医療機関で検査する。漢方薬の改善が無ければ薬を変える。
  • 症状の原因が、環境や人間関係なら見直しをする。