麹あんこを食べたことがありますか?

麹あんこを先日2年振りに作りました。これはで米を発酵させて作る麹甘酒と同じ要領で、砂糖を使わなくても自然な甘みがあります。発酵の過程で米のデンプンがブドウ糖や麦芽糖に分解されるため、ほのかに甘く、しかも消化吸収が緩やかです。

薬膳的には、麹あんこは甘・温の性質を持ち、脾・心・腎経に作用します。補気・補血・安神の効果があり、冷えや疲労、ストレスで弱った脾胃を助ける働きがあります。糖分をほとんど加えないため、血糖値への急激な影響も抑えられ、糖尿病傾向の方でも少量であれば安心して取り入れられます。

栄養学的には、麹による発酵でビタミンB群やアミノ酸、酵素が生成され、腸内環境を整えるプレバイオティクス効果も期待できます。自然な甘みがあるため、砂糖不使用でも甘味料の摂りすぎを防げるのも嬉しいポイントです。

残念ながら日持ちしないので、小分けにして冷凍します。わたしは、ゼリーや寒天で一旦固めてパットに入れ冷凍しました。解凍すると和菓子そのもので美味しくいただけます。

麹あんこ

🍚 麹あんこのレシピ(麹の多いのや少ないレシピありこれは多め)

材料(作りやすい分量)

小豆(乾燥) … 2カップ

麹(米麹) … 200g

水 … 400ml(煮る用)

熱湯…200ml(麹を入れる時)

塩 … ひとつまみ

作り方(私は圧力鍋で小豆を煮ました)

  1. 小豆は洗って一晩水に浸す。(圧力鍋なら洗うだけ)

  2. 小豆を水とともに鍋に入れ、柔らかくなるまで煮る(約40〜50分)。
    (圧力鍋なら強火、沸騰させて弱火20分、12分蒸らす)

  3. 柔らかくなった小豆の水分を少し残して火から下ろす。

  4. 米麹を加えて混ぜ、保温器具(蓋を開けて濡れ布巾かけて炊飯器の保温)約10〜15時間発酵させる。

  5. 塩ひとつまみを加え、なめらかになるまで潰す。

  6. 冷蔵保存で約1週間。2日という説もあり。

    炊けた小豆を冷まして麹と熱湯を入れかきまぜ炊飯器の蓋開けて発酵

    麹あんこ 炊飯器
    持ちあがるまで練ります。
    麹あんこ
    下の写真はゼリーを混ぜて固めたもの。寒天で固めてきんつばになります。

    レシピは、書籍「やさしいおやつ」寺田聡美さまのをお手本参考にさせていただいています。

麹あんこのポイント

発酵により自然な甘みが出るため、砂糖不要。

小豆は脾・腎を補う食材で、むくみや疲労回復に◎。

GI値は約45〜50(中GI)。血糖上昇は緩やか。

お饅頭の餡子に、ぜんざいに、どらやきやホットケーキに、あんみつに色々使えますね。

Instagram麹あんこの動画

砂糖の要らない麹甘酒で温まろう

麹甘酒は、何回作ったことかわからないぐらい好きです。暑い時は冷やしてヨーグルトやアイスにかけることができます。これも炊飯器の蓋を開けて濡れ布巾被せて保温発酵させれ作れるのでしつこく混ぜる麹餡子より簡単で重宝します。こんな便利なもの作らずにいられましょうか。冷蔵1週間 冷凍なら1か月(自然解凍して食べる)

🍶 麹甘酒のレシピ(これも分量が全く異なるレシピがあります)

材料(2人分)

米麹 … 100g

冷めたご飯 … 300g

熱湯… 300ml

作り方

  1. 炊飯器にご飯を入れ熱湯入れる

  2. 米麹を加えてよく混ぜる。

  3. 60℃前後で10~15時間保温して発酵させる(炊飯器の保温機能で蓋開けて濡れ布巾かぶせる)。

  4. 甘みが十分に出たら濃縮甘酒完成。冷やして飲む場合は冷蔵庫で保存。

麹甘酒

お湯で薄めて甘酒もいいですが、ヨーグルトにのせて食べるのもとても相性がいいです。

ポイント

甘みは発酵による自然なブドウ糖・麦芽糖。

脾胃を補い、疲労回復、整腸効果あり。

GI値は約35〜40(低〜中GI)で血糖上昇は比較的緩やか。
レシピは、書籍「やさしいおやつ」寺田聡美さまのをお手本参考にさせていただいています。

🌿 薬膳的まとめ

麹あんこ:補気・補血・安神。脾・心・腎に作用。むくみ・冷え・疲労の回復に◎

麹甘酒:補気・健脾・整腸。冷えや疲労回復、消化力を助ける。

どちらも砂糖不使用で自然な甘み。糖尿病傾向でも少量なら安心。

素朴なよくある疑問、白砂糖の何がいけないの?

白砂糖(上白糖)は精製過程でビタミンやミネラルが失われるため、多く摂取するとイライラ疲労感、糖化による老化などのマイナス面が指摘されています。最も血糖値の上昇が高い甘味料です。
薬膳的にはマイナスのエビデンスがありません。2200年~3000年近くの歴史がある薬膳ですが、昔は、肉や魚が贅沢品だったでしょうから砂糖を摂取しても消費が足りないことが無かったからかもしれません。
また、白砂糖に比べ血糖値上昇が少し低いだけで、きび砂糖も黒糖もそんなに変わりません。
4毒抜きのひとつとされる甘いもの、砂糖ですが、過剰に摂取するとニキビなど肌の炎症にもつながるのは、実感としてもとてもよくわかります。
疾患のある人以外は全く抜いてスイーツや砂糖の甘さが必要なおかずを楽しめないので、低GIの甘味料を使用する手があります。
現在は、沢山の甘味料がありますが、何種類か調べてみました。あくまでネット上の情報のまとめのためおおまかな参考です。

🍯 甘味料・発酵甘味の比較表

(GI値・血糖上昇・カロリー・中医学効能)

甘味料 主成分 GI値(目安) 血糖上昇傾向 カロリーkcal/100g 中医学での効能・帰経 糖尿傾向の人へのおすすめ度
白い砂糖(上白糖) ショ糖(スクロース) 約110 急上昇 約384 甘・平/脾・肺経/気を補うが痰湿を生む ❌❌
きび砂糖 ショ糖+微量ミネラル 約100 急上昇 約380 甘・平/脾・胃経/補気するが湿を助ける
黒糖 ショ糖+ミネラル(鉄・Ca) 約98 やや急上昇 約380 甘・温/脾・肝経/補気・補血・散寒 ❌〜△(冷え性なら少量)
蜂蜜 果糖+ブドウ糖 約50〜55 中程度 約294 甘・平〜微温/脾・肺・大腸経/潤肺・補中 △(小さじ1程度)
オリゴ糖 難消化性オリゴ糖 約10〜30 緩やか 約240 甘・平/脾・大腸経/整腸・潤腸
アガべシロップ 果糖(90%以上) 約20〜30 緩やか(脂肪蓄積注意) 約310 甘・平/脾・肺経/潤いを与えるが冷やす ⚠(脂肪肝に注意)
ステビア ステビオシド(非糖質) 約0 上昇しない 約0 甘・涼/肺・脾経/清熱・潤喉 ⭕⭕
羅漢果 モグロシド(非糖質) 約0 上昇しない 約0 甘・涼/肺・大腸経/清熱潤肺・止渇 ⭕⭕⭕(最適)
麹甘酒 ブドウ糖+麦芽糖 約35〜40 緩やか(中程度) 約80(液体)

〜180(濃縮)

甘・温/脾・胃・心経/補気・補血・疲労回復 △〜⭕(冷え体質に◎)
麹あんこ 小豆+麹(麦芽糖) 約45〜50 中程度 約160〜200 甘・温/脾・心・腎経/補気・利水・活血 ⭕(虚弱・貧血に)
メイプルシロップ ショ糖+少量のミネラル 約54 中程度 約260 甘・平/脾・肺経/潤肺・整腸。自然な甘味 △(少量可)
みりんシロップ ブドウ糖+オリゴ糖+アミノ酸 約45〜55 中程度 約230〜250 甘・温/脾・胃経/補気・健胃・血行促進 △(少量可・冷え体質に◎)

甘味料は加工により様々なのであくまで目安ですが、血糖値が上昇しないのは、ステビアと羅漢果になります。
ステビアは、葉っぱを煮出すか、顆粒にして使います。ほんの少量で甘いです。砂糖の200倍?の甘さとも言われていますが、少し言い過ぎかもしれません。苦味や癖がある味と匂いです。これをクッキーなどに使えればいいのですが、バターと乳化せず、固まります。ゼリーや液体には使えます。

味醂シロップで牛丼、すき焼き、そしてスイーツ、ドリンクに

砂糖を使う代わりに味醂を煮詰めて作るとさっぱりした煮物になります。
また渇きものではないスイーツたとえばフィナンシェに代用できます。
みりんシロップ
過去にイベントで販売していたフィナンシェです。
また、チャイなどのドリンクに砂糖無しの代わりに味醂シロップが使えます。
Instagram味醂シロップ使ったチャイとアイス

🧠 GI値とは?

GI(グリセミック・インデックス)**とは、食品を摂取後に
「血糖値がどれくらい早く上がるか」を数値化したものです。
基準は ブドウ糖=GI100
低GIの食品ほど血糖上昇が穏やかで、糖尿病予防やダイエットに有利です。

GI値 分類 血糖への影響
70以上 高GI 血糖値を急上昇
56〜69 中GI ゆるやかに上昇
55以下 低GI 緩やかで安定

🍵 東洋医学的まとめ(糖尿病気味=「消渇」タイプ)

タイプ 主な症状 向く甘味料
肺熱傷津型(喉の渇き・口乾) 清熱潤肺 羅漢果・ステビア
胃熱旺盛型(多食・便秘) 清熱・整腸 羅漢果・オリゴ糖・メイプル少量
気陰両虚型(疲労・冷え・食欲低下) 補気養陰 麹甘酒・麹あんこ・みりんシロップ
陰虚内熱型(やせ・ほてり) 養陰潤燥 羅漢果・少量蜂蜜

🩺総合おすすめ度(糖尿傾向の人向け)

評価 甘味料 特徴
⭐⭐⭐⭐ 羅漢果・ステビア 血糖に影響せず、清熱潤肺。糖尿傾向に最適。
⭐⭐⭐ オリゴ糖 整腸作用で脾を助け、便秘防止にも。
⭐⭐ 麹甘酒・麹あんこ・みりんシロップ 冷えや疲労のある虚証タイプに。少量使用を推奨。
蜂蜜・メイプルシロップ 天然甘味だが糖分多め。控えめに。
アガべシロップ 低GIでも果糖過多で肝負担。
白砂糖・きび砂糖・黒糖 高GIで湿熱を生じ、糖代謝を乱す。

補足 てん菜糖

てん菜糖(甜菜糖、ビート糖)は、サトウキビではなく、甜菜(ビート)という根菜から作られる砂糖です。北海道などの寒冷地でよく生産されています。
甘味を感じるには、量が必要なため、私は、避けていますが甘味がまろやかです。

GI値・血糖への影響

GI値:約65〜70(中GI〜やや高GI)

血糖値:上昇しやすいが、オリゴ糖を一部含むため、腸内環境にはやや良い影響。

栄養的特徴

ごく少量の ミネラルオリゴ糖 が含まれる(精製度が低いタイプの場合)精製白糖よりはわずかに栄養が残っているが、基本的には「エネルギー源」中心。

薬膳的効能・帰経

性味:甘・平

帰経:脾・肺

効能:補気(エネルギーを補う)潤肺(乾燥をやわらげる)緩中(胃腸の働きを整える)

病院で糖尿病治療に使われる麦芽糖について

これについて友人に訊ねられたので、調べてみました。日本の多くの病院では、砂糖の代替として麦芽糖(特に還元麦芽糖=マルチトール)を含む甘味料が使用されています。代表的な例が「マービー(MARVIE)」という製品で、1971年に食事療法用として開発され、糖尿病患者などの病院給食や栄養指導の現場で長年使われています。

この甘味料全く低GI値ではありません。カロリーも低くありません。これが私には疑問でした。

2025年現在、日本の病院や介護施設では還元麦芽糖(マルチトール)を使った甘味料の利用は今も続いていますが、市場での存在感はやや落ち着いています。代表的な製品「マービー(MARVIE)」も依然として医療機関やドラッグストア、オンラインで販売されていますが、一般スーパーなどの店頭では以前ほど見かけなくなっているのが現状だそうです。

理由として、他の代替甘味料(エリスリトール、ラカント、ステビア、アスパルテームなど)が増え、低糖質・低GI食品市場が多様化したこと消費者ニーズが「天然由来・無添加・ゼロカロリー」方向に移行していることが挙げられます。​

ただし、還元麦芽糖自体は長年の使用実績があり、糖尿病やカロリーコントロールが必要な患者食には依然として採用されています。2025年の医療系報告でも「全国の病院食でも利用されている」と記載があり、主に調理・栄養管理の現場では根強い支持があります。​

🍬 麦芽糖(マルトース)の正確な位置づけ

項目 内容
主成分 グルコースが2つ結合した二糖類
由来 デンプン(米・麦など)を酵素で分解して得る
GI値(食品としての目安) 約60〜70(中〜やや高GI)
血糖上昇速度 砂糖よりやや穏やか(分解過程があるため)
カロリー 約310 kcal/100g
薬膳的性質 温/脾・胃
薬膳的効能 補気・健脾・疲労回復・冷え改善
特徴 体にやさしく吸収され、エネルギー補給に適す。病院の栄養管理にも使われる。

うーん、これが使われ続けているのは〇権でしょうか?

まとめ(無理やり)

砂糖以外にも、体にやさしい甘味料はさまざまあります。たとえば、蜂蜜やメープルシロップは自然のミネラルを含み、オリゴ糖や麹甘酒は腸内環境を整える働きがあります。ステビアや羅漢果のような天然甘味料は血糖値を上げにくく、糖質制限中の人にも適しています。用途や体質に合わせて、甘味料を選ぶことが大切ですね。