お屠蘇の生薬には沢山の効能

元旦に飲むお屠蘇は、屠蘇散という生薬を数種類入れたものを大晦日に熱を加えず清酒やみりんに浸し、元旦に飲みます。結婚の神前式で酌み交わされる三々九度のお酒もお屠蘇で、屠蘇散が入っています。屠蘇は、邪気を(ほふ)り、つまり邪を切り裂き、魂をらせるという意味です。とても日本的な儀式のお酒のイメージがありますが、起源は、中国の後漢時代に名医の華柁(かだ)が、様々な薬草を調合して酒に浸して処方したのが始まりで、日本には平安時代に伝承されたと言われています。ちなみに、その(おそらく前期)漢時代に最初の薬学の専門書『神農本草経』が出版されていて、中国では、薬草や薬膳の扱いの土台が出来上がった時期でした。

『名医の華柁は、麻酔を最初に発明したとされており、「麻沸散」と呼ばれる麻酔薬を使って腹部切開手術を行なったといわれています。(wikipediaより)』

さて、この屠蘇散は、薬局やスーパーで売っていて、価格によって種類も品質も多少の違いはあることでしょうが、5種類から10種類の生薬が入っています。私が購入したのは、一番安いもので、6種類でした。意外と洋風に使うものも入っています。以下の種類でした。

桂皮(シナモン)山椒(サンショウ)白朮(ビャクジュツ)防風(ボウフウ)桔梗(キキョウ)陳皮(チンピ)

お屠蘇

この中で身近なものは、シナモン、山椒、陳皮ですね。白朮(ビャクジュツ)は、京都の八坂神社のおけら参り神事に使われるオケラで気の働きを良くし、消化器官の働きを助けます。防風(ボウフウ)は、その名の通り、風邪の治療に使われる生薬です。桔梗(キキョウ)は、桔梗の花の根が原料です。鎮咳、去痰、排膿の効能があります。
味は、どうでしょうか。私のように下戸で、おちょこの量なら大丈夫レベルでも味わえました。シナモンの味覚が一番強く感じられました。

その他にも入れられる生薬は、丁子(クローブ)茴香(ウイキョウ)大黄(ダイオウ)鳥頭(トリカブト)です。

茴香(ウイキョウ)は、健胃,鎮痛作用があり,食欲減退,腹痛,下腹部痛,神経質で胃痛や胸やけがあるなどの症状に効能があります。大黄(ダイオウ)は主に便秘の漢方薬の原料として使われています。健胃、胃腸炎、消化不良なども。鳥頭(トリカブト)は、毒を抜く処理が必要で、新陳代謝機能の極度に減衰したものを回復させ、気をめぐらし冷えを除き、強心・利尿作用があります。丁子(クローブ)は、胃腸を温め、上った気を下方に納める作用があり、下痢、腹痛、消化不良 吐き気に。匂いは、まさに正露丸、あるいは、歯痛の薬です。

お屠蘇に関するまとめ 体質別に手作りもできるお酒

こうしてざっと調合されている生薬を見てみると、ありとあらゆる体調の不具合に働きかける生薬が使われています。便秘も下痢も両方の効能が入っています。体質に沿ったものにするならいらないものも出てくるかもしれませんし、美味しい味にこだわるなら、調合の試行錯誤が必要でしょう。お茶の場合は、熱湯を加え、その都度飲みますが、お酒は、長時間浸すことで養分を抽出しますので浸透具合の違いも面白そうですね。

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